賃貸保証料とは
(この記事のブログ№6728)
賃貸保証会社への加入が改正民法によって増加傾向にあります。
最近では、こんな場面も増えているみたいです。
娘:「父さん、ようやく一人暮らしの部屋を決めたよ!」
父:「そうか、これでお前も独立だな、うん・・うん。」
娘:「さて、契約前に書類に目を通しておこう!」
父:「安心しろ!!連帯保証人は父さんがなってやるからな!ハンコは、どこに押すんだ?」
娘:「あ、大丈夫、大丈夫。保証会社にお願いするから。」
父:「そっ、そうなの・・・?」
肩透かしでキョトンとするお父さんの顔が目に浮かびます。
賃貸物件を借りるときの保証会社加入の件につきまして、ご説明させていただきます。
賃貸物件を契約する際にかかる保証料とは
賃貸物件の募集図面に「保証料」と記載がされている事が多々あります。
この保証料とは、なんのための費用なのでしょうか。
賃貸物件を契約する際にかかる保証料とは、「賃貸保証会社」への加入費用のことです。
なぜ保証会社に加入するのでしょうか?
なぜ保証会社に加入する理由につきましてご説明させていただきます。
以前は、賃貸借契約は、大家さんや管理会社から「連帯保証人」を求められることが一般的でした。
一方、借主によっては連帯保証人を頼める人がいなかったり、いたとしても頼みずらいケースがありました。
そのような場合に対応するのが保証会社です。
保証会社は万が一借主が家賃を滞納した際は大家さんに保証会社が家賃を立て替えて支払います。
つまり、保証会社を利用して保証料を支払えば、連帯保証人を立てなくても賃貸物件を契約できるようになります。
このような経緯で保証会社を使うことが普及してきました。
連帯保証人を立てて欲しいという大家さん
その一方で、大家さんの中には、保証会社ではなく、連帯保証人を立てて欲しいという場合もあります。
保証会社が保証してくれるのは家賃などの「お金」に関する事なので、貸主さんの生活面などに関してはほとんど関与してくれません。
入居中に賃借人のゴミの出し方や騒音など、他の入居者の方に迷惑をかけても、その入居者に保証会社から注意するということはありません。
親などが連帯保証人ならば、親から子どもに注意してもらうことが期待できるので、大家さんとしては、家族・親族などに連帯保証人になって欲しいというケースが出てくるわけです。
改正民法が全面施行
このような「連帯保証人を立てて欲しいという大家さん」のケースは、今後も続くとは思いますが、これからは、多くの物件が保証会社加入となってくるのではないかと思います。
なぜならば、2020年4月1日、改正民法が全面施行されたからです。
改正前の民法では保証契約については、連帯保証人が保証契約書に署名・捺印していれば、賃借人が賃料を支払う支払わない支払わない場合、賃借人は当然に連帯保証人に請求をすることができました。
例えば家賃が月額10万円のアパートで入居者が1年間家賃を滞納してれば賃貸人は連帯保証人に対し120万円を請求することが可能でした。
改正民法では保証人が個人である場合には、極度額を保証契約書などで合意しない限り無効と定められました。その上で個人の保証は極度額を限度として保証責任を負うと定められました。(連帯保証人が個人の場合、極度額を定めない連帯保証人条項は。無効となります。)
極度額とは
極度額とは保証責任の上限額(責任限度額)のことです。
例えば家賃が月額10万円のアパートで、入居者が1年間家賃を滞納した場合でも極度額を家賃の6ヶ月分の60万円と定めた場合には、滞納金額は120万円であっても連帯保証人に請求できるのは60万円だけと言うことになります。
なお極度額の設定は家賃1年分~2年分程度を想定している事業者が多いようですがこれに応じる保証人がどれだけい入るかは未知数です。
つまり上記の例でいえば、家賃10万円の家賃1年分~2年分程度(120~240万円)の上限額(責任限度額)を提示された場合、実際に支払うかもしれないリアルな数字を見て連帯保証人を引き受けることに二の足を踏むケースが想定されます。ついては連帯保証人を辞退して、そのなり手が減るのではないかと思うからです。
保証料の額
なお、保証会社を利用する際にかかる保証料は、保証会社によって異なりますが、概ね「家賃等」の50%~100%の間となっています。
例えば、家賃10万円のアパートで保証会社に加入する場合は、賃貸借契約締結時に5~10万円が保証料として必要です。
注意が必要なのが、保証料は家賃以外に共益費、駐車場料金も含めて合算するということです。家賃10万円、共益費(管理費)5,000円、付帯する駐車場料金15,000円の物件ならば合計金額12万円の50%~100%になります。(前出の「家賃等」と申し上げたのは、共益費、駐車場料金などの費用を含めた月額支払い総額という意味で「家賃等」と表記させていただきました。)
さらに、1年もしくは2年ごとに保証会社の更新料として1万円前後必要となります。また、契約期間中に家賃滞納を起こしてしまうと、更新料が割高になる場合もあります。
どの保証会社に加入するかは、管理会社等が指定していることが一般的です。なぜならば不動産会社や管理会社が代理店契約を結んでいる保証会社に限定されるからです。
保証会社の審査基準
保証会社の審査基準としましては、
①給料が家賃に見合っているかどうか(家賃が収入の30%、あるいは1/3程度におさまっているかどうか。)
②仕事内容 アルバイトであったり、自営業当 収入の証明ができるかどうか
③他にローンや支払いがあるかどうか (自家用車購入のローンなど)
④今までに家賃滞納がないかどうか・・
などがあります。
経験談ではこんなこともありました。
お客様から、「実は・・」と切り出されました。聞けば、「若気の至りで学生時代にクレジットカード事故を起こしている経歴があるんです・・。」とのこと。
保証会社の審査に通らないかも・・ヒヤッとしましたが、すでに完済されており、事故からも相当の年月が経っていたので、問題はありませんでした。
ポイントのまとめ
・保証料とは、「保証会社」に加入するための費用のことです。
・保証会社に加入すれば、賃貸借契約における連帯保証人が「不要」になります。
(保証会社の中には、連帯保証人を立てることで保証料を安くする会社も散見します。)
・保証料などの「料金体系」は、保証会社によって異なります。
・個人の連帯保証人に対しての極度額設定の義務化となります。
・事業用は特に注意が必要。個人補償の場合は、主債務者が事前に一定の情報を開示せずに契約されたものは、取り消すことができるようになりました。背景としましては、個人が安易に保証人となり、現実に保証債務の履行を請求されたときに思わぬ経済的負担を課され、トラブルとなることを防ぐためのものです。保証債務による経済的負担の程度やリスクについて十分に理解することを事前にもとめられるようになりました。
一方、連帯保証人が法人であれば極度額の設定や事前の情報提供不足による取り消しもございません。